学校の責任
SCHOOL LIABLE

学校事故の学校の責任

SCHOOL LIABLE

1.教職員の故意又は過失がある場合

教職員の故意又は過失によって事故が生じた場合、学校は、教職員の使用者として損害賠償義務を負うことになります。
公立学校であれば国家賠償法、私立学校や国立学校であれば民法715条が根拠条文となります。

では、教職員に過失がある場合とはどのような場合でしょうか。

これについては明確な基準を打ち立てることはできませんが、(1) 子どもの学年(危険を察知できない低学年なのか、それとも分別のある高校生なのか)や、(2) 指導内容(通常の授業中なのか、危険な道具を使う図工の授業中なのか、夏のプール授業中なのか)、などから総合的に判断されることとなります。

また、休憩時間中や放課後の学校事故の場合、そもそも学校の教育活動と密接な関係のある活動中だったのかという問題もあります。

2.代理監督者責任

学校では多くの児童生徒が生活を営みます。その中で、子どもが子どもを傷つけてしまうような事故・事件も発生します。
特に12歳前後よりも幼い子どもが、他の子どもを傷つけてしまった場合、学校にも責任を追及する余地があります。
これを「代理監督者責任」といいます。

12歳ぐらいよりも幼い子どもは、自分の行動の責任を理解するための知能を備えていない「責任無能力者」であると考えられています。そして、責任無能力者は、事故についての責任を負わないことになっているのです。例えば、あなたの車が8歳の子どものいたずらで傷つけられてしまった場合、あなたはその子どもに直接損害賠償を求めることはできません。しかし、その場合、あなたは子どもの監督義務者である親に対して、損害賠償を請求することができます(監督者責任)。

これについては明確な基準を打ち立てることはできませんが、(1) 子どもの学年(危険を察知できない低学年なのか、それとも分別のある高校生なのか)や、(2) 指導内容(通常の授業中なのか、危険な道具を使う図工の授業中なのか、夏のプール授業中なのか)、などから総合的に判断されることとなります。

学校事故の場合、学校は、親に代わって未成年者を監督する立場ですので、親と同様に監督者責任を負うことになるのです(これを代理監督者責任といいます)。
しかし、子どもが加害者の事故すべてについて、学校が責任を負うわけではありません。学校が代理監督者責任を負うのは、事故が教育活動やこれと密接不可分な活動に伴って生じた場合に限られると解されます。

なお、加害児童が、責任無能力者に該当するかどうかは明確な基準はありません。判例を見ると、だいたい12歳程度より幼ければ、責任無能力者とされています。

学校内における小学校の子ども同士のけんかなどで、子どもが怪我を負った場合、学校に対し、代理監督者責任を追及しうることとなります。もっとも、学校が監督者としての義務を怠っていなかった場合には、代理監督者責任は生じないこととなります。

3.工作物責任

学校の施設に不具合や安全配慮に欠ける点があり、その不具合が原因で学校事故が生じた場合、学校は、その事故の損害を賠償する責任を負います(工作物責任)。
この根拠条文も、公立学校と、私立又は国立学校とで異なり、その責任の範囲も全く同一とは言えません。

4.時効について

損害賠償請求権は、事故又は損害発生から5年で時効となってしまいます。また、事故から時間が経過することで、事故に関する証拠が無くなってしまう可能性もあります。
学校事故が発生した場合は、なるべく早い段階で、賠償についても検討することをお勧めします。


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